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守口ブログ「SPなう。」

2013年7月8日
【守口ブログ 第14回】「コストコの事例で考える会員制小売業のビジネスモデル」

Costco
Costco / coolmikeol

会員制小売業というユニークな業態があります。顧客が店舗を利用するためには、会費を支払って会員になる必要があります。

日本で13店舗を展開しているコストコは、会員制小売業の代表的な存在です。
今回はコストコを例にとって、会員制小売業がどのように利益をあげているのかを検討しましょう。

コストコは、1983年にアメリカで創業されました。年会費を支払って会員となった法人と個人が利用できます。法人顧客としては、中小の食品小売業や飲食店などが多いと考えられますが、法人顧客に対して配送をしているわけではなく、個人顧客と同じように店舗で買い物をして商品を自分で持ち帰ることになります。

コストコの店舗数は全世界では592店であり、その大半は北米に立地しています。日本では上述のように13店舗が営業しており、アジアでは日本の他に台湾と韓国にも進出しています。会員数は個人と法人を合わせて全世界で6,400万人に達しています。日本の会員数は公表されていませんが、200万人を超えると言われています。

コストコの日本での年会費は、個人会員が4,200円、法人会員が3675円。利用客は年会費を支払って会員となり、店舗で買物をしてその都度商品代金を支払います。このようにコストコは、年会費と商品売上という2通りの収益源を持っているわけです。

それでは、コストコはこの2通りの収益源からどのように利益をあげているのでしょうか。コストコの日本法人の業績は公表されていないので、ここでは米国本社の年次報告書をもとにして、グローバルでの業績を確認します。

図1 コストコの売上高推移

売上高は図1のように推移しています。リーマンショックの影響で09年の売上はその前年を若干下回っていますが、それ以外の年は右肩上がりで伸張していることが分かります。

図2 粗利益率(上の線)と営業利益率(下の線)の推移

粗利益率と営業利益率は図2のように推移していますが、粗利益率の低さが際立っています。一般的な小売業者の場合、少なくとも20~30%の粗利益率があります。 例えば、同じディスカウント業態のウォルマートの粗利益率は24.7%であり(2011年)、日本の代表的なスーパーの粗利益率はほぼ20%台後半になっています。

これに対して、コストコの粗利益率は10%強で推移しており、他の小売企業に比してその数値が極端に低くなっています。 この数値は、コストコが利幅を抑えて低価格で商品を販売していることを如実に表しています。

営業利益率の値は3%弱となっています。数値そのものはそれほど高い水準ではありませんが、年による振れ幅が非常に小さく、安定して推移していることは特筆できます。

図3 営業利益額(上の線)と会費収入(下の線)の推移

図3は営業利益額と会費収入額の推移です。両者ともに順調に伸びていることが分かります。 営業利益額と会費収入額の2つが近い値になっていることも大きな特徴です。

コストコの利益は、商品売上と会費収入の両者から得られます。それぞれにかかるコストは明確には分からないため、会費収入の利益貢献度を正確に求めることはできません。

しかし、商品販売に関連するコストには、仕入れ、配送、店舗運営などのさまざまなコストがかかるのに対して、会費収入に関連するコストは、カード発行や会員管理など相対的にみればごく僅かな費用しか発生しないと考えらます。つまり、会費収入のほとんどの部分が、そのままコストコの利益につながっているとみることができます。

そこで、営業利益に占める会費収入の比率を算出すると、11年が76.5%、10年が81.4%、09年が86.3%というように、ここ数年は80%前後で推移していることがわかります。上述したように、商品売上と会費収入それぞれの利益貢献度は正確には分かりませんが、これまで述べてきたことから判断すると、コストコの利益のうちのかなりの割合が会費収入によってもたらされていると言うことができるでしょう。

コストコのような会員制小売業は、利益の大半を会費収入から得ることによって、低価格での商品販売が可能となり、その魅力によって会員を増やして会費収入を向上させている分けです。こうした好循環をつくりあげることがコストコのような会員制小売業のビジネスモデルになっていると理解することができるでしょう。

*この内容は、守口剛(2012)「課金方式のバリエーション」『マーケティングジャーナル』(32巻、2号)の一部を加筆・修正してまとめたものです。

タグ:「コストコ」「会員制小売業」「年会費」「会費収入」